「有名大学を卒業すれば、安定した人生が約束される」。そんなイメージを持つ人も少なくありません。しかし、時代や社会環境によっては、高い学歴があっても思い描いた道を進めないことがあります。
今回紹介するのは、就職氷河期世代を生き抜いてきた45歳男性の体験です。地方出身の彼は、幼い頃から勉強に打ち込み、常に成績上位を維持してきました。
幼少期は体が弱く、周囲との違いに悩むこともあったといいます。それでも家族からは「勉強を武器に未来を切り開いてほしい」と励まされ、努力を重ねました。その結果、国内有数の難関大学への進学を実現します。
大学時代には海外での経験を通じて視野が広がり、世界を舞台に活躍できる仕事への憧れを抱くようになりました。航空業界や旅行業界、商社など、国際的な仕事に携われる企業を中心に応募を続けます。
しかし現実は想像以上に厳しいものでした。
筆記試験や書類選考は順調に通過する一方で、最終段階で不採用となるケースが続きます。挑戦した企業は40社を超えましたが、結果は思うようにいかず、大きな挫折を経験しました。
その後、ようやく就職できた職場では長時間労働や厳しい業務環境に直面します。数年間働いた後、「今度こそ安定した環境で働きたい」と考え、大手企業グループへの転職を決意しました。
転職当初は順調に見えましたが、家庭を持ち子どもが生まれると状況は変化します。仕事と家庭の両立に悩み、さらに家族の問題も重なったことで、心身ともに大きな負担を抱えるようになりました。
支えとなったのは、そばで見守り続けてくれた妻の存在でした。
将来への不安が募る中、妻から新たな挑戦を勧められます。それが経験者向け公務員試験への挑戦でした。
簡単な道ではありませんでしたが、長年培ってきた知識と努力が実を結び、見事合格。現在は自治体職員として国際交流や海外関連業務に携わり、自分の強みを活かせる環境で働いています。
振り返れば、順風満帆とは程遠い人生だったといいます。難関大学への進学、度重なる就職活動の失敗、転職後の苦労、家庭との両立――数多くの壁にぶつかりながらも歩みを止めませんでした。
そして彼が語るのは、自身の経験だけではありません。同じ就職氷河期世代には、厳しい雇用環境の中で転職の機会を失い、不本意な環境に留まり続けた人も少なくないと感じているそうです。
華やかな経歴だけでは人生は決まらない。努力がすぐに報われない時期があったとしても、自分に合った場所を探し続けることで新たな道が開ける――。
この男性の歩みは、時代に翻弄されながらも諦めずに挑戦を続けた一人の人生として、多くの人に勇気を与えてくれるのではないでしょうか。

